ことばのこばこ 【阿刀田高さんおススメの本】

06-27-2023

阿刀田高さんは、「ことばのこばこ」という和田誠さんの絵本を言葉や読書につながる本として、薦めていらっしゃいます。
どんな絵本なのでしょうか?

和田誠さんの絵本「 ことばのこばこ」について


ことばのこばこ
作:和田 誠
出版社:瑞雲舎

和田誠さんは、たばこ「ハイライト」のパッケージデザインを手がけたことで有名なイラストレーターで、「週刊文春」の表紙は彼の没後の今も彼の絵を使い続けています。

和田さんは非常に多才で「ことばのこばこ」という絵本を出しています。私はこの本が本当に大好きです。
この本には可愛らしいイラストと共に、「あひるがみずをあびる」「おながはおなかがすいた」といった多種多様の言葉遊びが出てきます。

児童書室に置いておくと、飛び付く子どもが結構いて、児童書室で貸出数の多い本の一つです。
大人もこの本を喜びます。知人の美容師が美容室にこの本を置いたところ。客の多くが待っている間、この本を見て楽しんでいたそうです。
私はこの本をいろいろな所で薦めています。小学校に上がるか上がらないかの子どもがこの本を見て、「日本語ってこういうものなの?」と思い、言葉に関心を持つようになったら、それが結局、良書や教養につながると信じています。

最後に、AIに凌駕されそうな今だからこそ、読書を薦める阿刀田さんの大切な言葉を、引用させていただきます。

幼少期の脳の発達と読書の関係

読書に明け暮れた日々が私の財産になったことは確かですが、最近は読書が昔ほど流行らなくなり、「もう読書なんかしなくていい」と言う声さえ聞こえてきます。
実際、本が売れなくなりました。
仕方のないことかもしれませんが、それによって私たちの文化や、文化より大きい「私たちが生きていくこと」にどんな影響が及ぶのでしょうか。

0歳から10歳くらいまでは頭の中に工作機械を作る時代

赤ちゃんはまっさらな頭で生まれてきて、成長の過程で様々な言葉に晒される中で言葉を覚え、論理を探り、思考力を身に付けていきます。この過程は絶対に必要です。
別の言い方をするならば、0歳から10歳くらいまでは、頭の中に工作機械を作る時代です。工作機械とは金属・ガラス・木材などの素材を削ったり、穴をあけたり、研磨する機械です。通常の産業発展では、まず工作機械を作り、それから一般機械を作ります。そして人間の頭の中にも工作機械と一般機械に相当する部分があり、10歳くらいまでは明らかに頭の中に工作機械を作る時期なのです。そのためこの期間中は、IT機器によってパッと情報を得られる便利さは重要ではありません。
IT機器は、大人がちょっとした調べ物をする上で非常に便利ですが、0歳から10歳くらいまでの間は基礎的な頭を作るべきです。そしてそこにこそ、私たちがこの五百年の間、経験的に継続してきた読書の持つ意味が大きくあると思います。
「工作機械」と表現しましたが、ものを考える力を、身に付けるには、やはり読書が必要だと思います。近年大脳生理学でこうしたことが研究されています。エビデンスを得るのは簡単ではありませんが、私は脳科学者の言うように、「幼い頃からの読書習慣は、ものを考える力を身に付ける上で重要」だと思っています。

真に価値ある情報を捕まえる脳を作るには

本を山ほど読んできた立場からすると、IT機器は簡単に情報を得られてとても便利ですが、取材を重ねて苦労の末にやっと得た情報は、ネットで簡単に拾える情報とは、全く違う価値を持つと思います。
新聞記者は皆文章が上手いので、ネットで拾った情報だけでそれなりの記事を書きます。
しかし、現場で体を張って取材することを大切にしなければ、ジャーナリズムは死んでしまいます。本当に価値ある情報を捉える頭脳を作るには、ポンと入れてパッと出てくるものばかりに縋っていては駄目なのです。

(阿刀田 高 「本の楽しみ、言葉の喜び」 「學士會会報」令和4年7月号より抜粋させていただきました。)

広報担当者より

「ことばのこばこ」について

「ことばのこばこ」は、読書の習慣のない子ども、物語に興味のない子どもにも喜ばれると思います。言葉遊びの中から言葉に興味を持ち、「本好きにする」きっかけを作るのに最適な本になることでしょう。

「ハイライト」について

その昔、たばこと言えば「ハイライト」だった時代があります。そのデザインがこれです。

「週刊文春」の表紙について

和田誠さんのデザインは洗練されていて、時代を超えた新しさがあります。

幼少期の脳の発達と読書の関係について

ここに阿刀田さんの一番大切な思いが述べられています。
AIに凌駕されそうな今、物を考えられる人になるために何が必要なのか? 
その答えとして「幼少期の読書」があげられると思います。
0歳~10歳の読書の必要性について、もう一度振り返ってみることこそ大切なのではないでしょうか。

(広報担当 Y.N)

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