〇〇〇〇の一本一本一本の 名前書くとき四月と思う
〇〇〇〇に何が入ると思われますか?
えんぴつ? 正解は クレヨン です。
今はかわいい名前シールもありますが、4月を迎えて子どもの持ち物一つ一つに名前を付ける作業。
手がかかりますが、子どもの成長を感じてわくわくするような作業でもあります。
俵万智さんの「たんぽぽの日々」から、4月を迎えた思いを詠んだ歌をお届けします。(広報担当 Y.N)
クレヨンの一本一本一本の 名前書くとき四月と思う
カバン、帽子、くつした、クレヨン、ハサミ、粘土ケース、弁当箱、コップ、箸、歯ブラシ、お手拭き、ティッシュ入れ。
息子が幼稚園に入園した年の春、ありとあらゆるものに名前を書きながら「ああ、四月だなあ」と思った。
高校の教員を辞めてから十数年、学校の暦とは無縁に生きてきたものだから、この感じが妙になつかしい。新しいものに名前を書く・・・・・そうそう、これこそが春の恒例行事だった。
★子どもたちの持ち物に名前を書いたり書類に記入したり、あわただしかったりした日々を思い出します。
新しいクレヨンのにおい、教科書のにおい、新しいことが始まるような、少しワクワクした気持ちで。(Y.N)
教員を辞めた年の春のとまどいも、同時に思い出される。
「今月の学校行事」なくなりて我に静かな四月のひかり
定期券を持たぬ暮らしを始めれば持たぬ人また多しと気づく
私の場合、浪人もせず大学に入り、卒業した年の春に教壇に立っていたので、ものごころついた時から、切れ目なく学校にいた。そのリズムが体に染みこんでいたため、しばらくは調子が出なかった。カレンダーが真っ白と言うのは、案外大変だ。自分の手で、一日の時間割から月間行事まで、決めていかなくてはならない。そうでないと、ただのっぺらぼうな日々になってしまう。
息子が幼稚園に行くようになってからは、夏休みや運動会など、一年のめりはりから、細かい曜日の感覚まで、もう何も考えなくても、体に入ってくるようになった。
これを面倒と考えるか、ありがたいと感じるかは、人それぞれだろうが、「白いカレンダーの恐怖(?)」を知っている者としては、実にありがたい。
★ぎっしりと、ある時は一日に何件も予定の書きこまれたカレンダー。それをこなしていれば、日々忙しいながらも充実して生きている気持ちになれました。もし、それが真っ白になったら?!
広い野原の真ん中で「どっちに行ってもよいよ。」と言われた気分。朝起きて、何もスケジュールがないとしたら? そしてそんな日がいつまでも続くとしたら? (Y.N)
さきごろ読売文学賞を受賞した岡部桂一郎歌集「竹叢」に、こんな歌がある。
定型は人をきびしくするものかしばらく思う 甘えさすもの
短歌の定型に甘えてはいけないという厳しい境地を詠んだものだ。が、この一首に出会って私は、わが身の四月に引きつけて思った。「そうそう、なにごともカタチがあるってことは、ラクなんだよね」と。
★4月という節目があって、予定があって、締め切りがあること。そんなカタチに縛られることが、日々を「何かした」という充実した気持ちに導いてくれるのだとつくづく思います。以前に比べれば、少し白い日のあるカレンダーを見ながら。
(Y.N)
出典 俵万智の子育て歌集「たんぽぽの日々」 小学館
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