健全な精神と身体の健康とは 【網野武博先生の「保育マインド」シリーズ2 ②】

02-07-2022

健全な精神と身体の健康とは   網野武博

網野武博先生の「保育マインド」シリーズ 第2弾です。
今回は、「健全な精神と身体の健康とは?」というテーマでのお話です。
コロナ禍の続く中、なおさら身近に感じる大切なテーマですね。

真の心身の健康とは?

心身ともに健康であるということは、保育マインドとして欠かせない要件です。健康であるというと、どのようなイメージが浮かぶでしょうか。悪性のインフルエンザが流行しているなかで、私だけが風邪を引かずにいるというようなイメージ、つまり病気にかからないあるいは病気にかかりにくいということをいうのでしょうか。

また、何事にもへこたれず、頑健そのものということをイメージするでしょうか。
たしかに、それ自体いかにも健康そのものといえるでしょう。しかし、本当に健康であるということは、日頃病気一つしないということとは異なるように思われます。病気一つせず、あまりにも頑健にみえた人が思いがけなくあっといういう間に病に伏し、命を奪われてしまった例をわれわれはいくつも知っています。

また、病んだり悩んだりすることがないと、真に人の病の苦しみ、悩みの深さに共感をもつことができないという例を眼にし、耳にしたことがあるでしょう。
一病息災という言葉もあります。自らにどこか弱いところがあると、というよりも、弱いところがあると自覚していると、むしろ無事であること、健康を維持することを配慮する傾向があります。そして、他者に対してもそのような配慮をもちやすくなります。

★確かに「頭が痛くて・・・」といつも悩んでいる人がいたとき、頭痛の経験がなければ、あの人はどうしていつも頭痛だと言って暗い顔をしているのかしら? と相手の痛みが分かりません。自分も同じ経験をしていれば「わかる わかる・・・。頭痛はつらいですよね。」と心から言えます。でも、本当の痛みは当人にしかわからないと思います。
誰でもどこかに弱いところがあるはずです。「人には弱いところがあるんだ」ということを自覚していれば、少なくとも「弱い相手を理解しよう」という気持ちになれるのですね。
「一病息災」ってその通りだと思います。たとえば「私は血糖値が高い」という自覚があったので、食生活や運動に気を付けて、健康的な生活を送れた、という人を知っています。
(ベビー&キッズシッター Y.N)

発熱・痛みや非社会的・反社会的行動は自らの可能性を模索する適応行動

発熱や痛みなど、病気は身体が発する適応行動であり、自然治癒への活発な適応行動であるという見方、行動問題や対人関係に悩む場合の心が発するサインや非社会的行動・反社会的行動も、自らの可能性を模索する適応行動であるという見方は、その人の心身の健康観にとってきわめて重要なことなのです。そのような見方をすることは、自らに対しても、そして何よりも他者に対して真に理解し、受容するうえで重要なことです。

★発熱によって、細菌やウイルスが体内に入ったときに増殖を抑える防御反応でもあると聞いたことがあります。もし、痛みがなければ、ひどく転んでも、足を骨折したことに気づかないかもしれません。発熱や痛みには意味があるんですね。
子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、一方的に「学校に行かなくちゃだめ!」ということは避けるべきですね。「いじめにあっていて自分を守りたい」などの理由があるかもしれないから・・・。
(ベビー&キッズシッター Y.N)

「健幸」とは?

世界保健機構(WHO)の有名な健康の定義があります。それは「健康とは、完全な肉体的、精神的および社会的に良好な状態(ウエルビーイング)であり、単に疾病、または病弱が存在しないということではない」というものです。
また、日本国憲法第25条の有名な条文は、「すべて国民は、健康(ホールサム)さ文化的(カルチャード)な最低限度の生活を営む権利を有する」と謳っています。
ウエルビーイング、ホールサムとカルチャードとはほぼ同義の内容です。
筆者はこのウエルビーイングを「健幸」という日本語で表現しています。

この世に生を享けた一人ひとりの人間が、その尊厳性を重んじられ、生涯にわたって発達する存在として、自己実現が図られるように配慮されること、これからの福祉はそれを指向します。すべての人々が「健幸」、つまり健康で充実した状態、安寧感と幸福感を覚える状態が続くことを願う福祉です。

★「健幸」ってとても良い言葉だと思います。人は社会的にもよりよく生きていくことが必要なんですね。
(ベビー&キッズシッター Y.N)

「心身ともに健康」とは保育者自身、そして他者を肯定的に受け止めてくこと


そのような状態が人生の初期にある人ほど必要であることは、これまでにふれたことから、加言する必要はないでしょう。それをしっかりと提供するマインドが、保育にあたる者の不可欠な条件です。

まず、保育者自身がよりよく生きていこうとし、その可能性を開花し、伸ばしていこうとする前向きな生命力、適応力が発揮されていることが大切です。

そして、生きることや人間を肯定的に受け止め、歪んだあるいは否定的な感情にあまり支配されることなく、前向きにかつ素直に他者に対することができ、他者がよりよく生き、その可能性を開花させ、伸ばしていこうとするその生命力、適応力を真っ直ぐに受け止めていこうとするマインドを擁していること、それが心身ともに健康であるということです。

★保育者自身もよりよく生きて行こう、とすることが大切! という言葉、心に響きました。他者を肯定的に受け止めていくために、自分自身を肯定的に受け止めることがまず大切なのですね。
(ベビー&キッズシッター Y.N)

出典:在宅保育の考え方と実際 改定 ベビーシッター講座Ⅰ理論編(第二版) 2010年

網野先生からコンビスマイルのブログに次のようなメッセージをお寄せいただいています。

保育マインドの涵養は、保育の専門性として非常に大切であると思っていますが、この度このようにブログに掲載していただき、本当に有り難く思っております。なにがしかのお役に立てましたら、大変幸甚な次第です。

網野武博

東京大学教育学部教育心理学科卒 元厚生省児童家庭局児童福祉専門官、元東京経済大学教授・上智大学教授・東京家政大学教授、元公益社団法人全国保育サービス協会会長 など

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