保育マインドとは 【網野武博先生の「保育マインド」シリーズ2 ①】

02-01-2022

網野武博先生の「保育マインド」シリーズ 第2弾をお届けします。
今回は、「保育マインド」の定義についてのお話です。


保育の専門性として欠かせない「保育マインド」

保育の知識や技術というと、これは明らかに保育の専門性にかかわるものです。しかし、保育マインドというと、その心構えや姿勢であって、専門性とはいえないと考える人もいるでしょう。
たしかに、保育の専門性は、通常、保育に関する知識、技術の面をいいます。保育士資格、幼稚園教諭の免状、保健師や看護師の資格を取得している方は、その資格を得るうえで専門的知識と技術がいかに必要な要件であったかを思い出すことができるでしょう。
しかし筆者は、保育の専門性として欠かせないものとして、保育マインドを挙げなければならないと考えています。つまり、具体的な保育の知識や技術を支える保育マインドです。(網野武博)

★資格を取るには、資格を取得できる大学などで学んだり、試験を受けたりする必要があります。知識、技術があれば、資格は取得できるけれども、それを支える「保育マインド」がないと、本当の意味での保育の専門性につながらない、ということですね。
(ベビー&キッズシッター Y.N)

保育マインドは心全体で獲得する専門性

「医は仁術」という言葉があります。保育マインドは、医師の倫理的側面をも含めた人間性としての仁術に相通ずるものがあります。
これは、単なる心構え、姿勢ではなく、人間性と感性です。これは保育のもう一つの重要な専門性であり、頭脳が獲得するものではなく、心全体で獲得していかなければならない専門性です。
そして、それはけっして生まれつきの、生得的・素質的なものではなく、保育にかかわるものが常に研鑽し、向上させなければならない資質としての専門性です。前にふれたエリクソンが「ケア」についていうところの価値的資質能力は、人間の発達段階において獲得されるものですが、保育マインドはそれらの資質能力を統合してさらに向上維持させる性格をもったものです。(網野武博)

★小さな個人の病院だけど、先生が私のことを覚えていてくれて、具合が悪いことを伝えると、うなずいて良くわかって下さるところがあります。先生の顔を見ただけで、なんだか調子が良くなるような気がします。
逆に立派な建物の大きな病院だけど、待ち時間が長くて、具合の悪いところを話しても、先生はパソコンの画面だけ見つめていて、さっさと薬の処方だけするところもあります。待合室に入るだけで、具合がさらに悪くなるような気がします。「医は仁術」って感じるのはこんなときでしょうか・・・。

保育マインドも同じこと。知識や技術が同程度であっても、子どもにとって幸せな気分になれる保育者と、一緒にいても全然楽しくない保育者といるのかもしれません。そして、保育マインドは生まれつきのものではなくて、常に研鑽して向上していく必要がある・・・。とても深いものなんですね。 (ベビー&キッズシッター Y.N)

保育マインドを定義する

それでは、具体的に保育マインドとは何でしょうか。これまでに筆者が記述し言及してきた定義をここに紹介します。

「保育マインドとは、健全で健康な生活を送ることのできる能力や適応性とともに、子どもを愛し、理解し、尊重する基本的態度と、それに基づいた真に豊かなニューマン・リレーションシップをもつことのできる人間性と感性である」。

これを具体的な姿で表現すれば、以下のようなことです。つまり、「健康である」「子ども好きである」「子どもから好かれる」「他人を包み込むことができる」「あたたかい」「明るい」「子どもと遊ぶことを知っている」等。このうち、あたたかい、明るいは、実はこれ自体も深い意味を持つ資質ですが、比較的理解しやすく、感性として受け止めることが容易であると思われます。(網野武博)


★保育マインドの定義、具体的な姿、のところを読んで、少し理解できました。さらに学んでいきたいと思います。
「健康である」・・・私は、どちらかというと風邪もひいたことがないから、健康には自信があります。でも、これって網野先生のおっしゃる「健康」とは違うような。次回のお話で「健康」とは何かを学びたいと思います。(ベビー&キッズシッター Y.N)

出典:在宅保育の考え方と実際 改定 ベビーシッター講座Ⅰ理論編(第二版) 2010年

網野先生からコンビスマイルのブログに次のようなメッセージをお寄せいただいています。

保育マインドの涵養は、保育の専門性として非常に大切であると思っていますが、この度このようにブログに掲載していただき、本当に有り難く思っております。なにがしかのお役に立てましたら、大変幸甚な次第です。

網野武博

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