子どもにとっての安全基地① ~網野武博先生の「保育マインド」から④~

07-26-2021

「ケア」のマインドは母親なら当然発揮できるのでしょうか?

マターニシティを伴った相互作用、そして価値的資質能力としての「ケア」は、母親が最もそれを発揮できる条件を備えています。よく母性愛とか、母性本能とかの言葉が用いられますが、しかし母親であるからこのようなマターニシティや「ケア」が当然のように発揮され、豊かな相互作用が両者の間にみられるというものではありません。

母性的養育機能や養育能力は本能として必ず発揮されるというものではなく、子どもとかかわる人物のなかに育まれ、育っていくものです。生物的親として胎児、新生児・乳児期と最も直接的にかかわる母親がそれを最も育てやすい生物的・心理的・社会的条件をそなえているというのが正確な表現でありましょう。

逆にいえば、それに近い同じような条件に恵まれていれば、それは必ずしも生みの親でなくても良いのです。そして、そのような相互作用の機会を豊かに与えてくれる人が身近に存在していれば、子どもはその人物にしだいに愛着(アタッチメント)を強めていくことが科学的にも明らかにされています。

このことは、ベビーシッターなど、新生児、幼児、そして学童期の子どもたちの保育に携わる人々のマインドと深くかかわってきます。

母親だから、必ず母性本能が備わっている、とは言い切れないんですね。
身近にいてマターニシティシティを伴った豊かな相互作用を提供できる人、保育者(ベビーシッターや保育士)に対しても、子どもは愛着(アタッチメント)を築けることが分かりました。(ベビー&キッズシッター Y.K)

1歳未満の頃から始まる後追いや人見知り

この時期の子どもたちは、その有能性を発揮し、自らと心豊かなかかわりをしてくれる人を常に基本的に求めています。

多くの場合、それはその条件を最も備えている、そして通常最も身近にいる母親との間に愛着を形成し、1歳未満の頃から、その人への後追いや人見知りを始めます。それは、自らのこれからの人生行路を歩むにあたって、まずは人間に対する基本的な信頼・愛情を獲得し、生きることの不安や生きる意欲を喪失させるような不幸な思いをもたずに、今を、今日を、明日をいきいきと楽しく生きていこうとする条件を備えはじめたことのあらわれです。

後追い、人見知りって、身近にいる母親や保育者との愛着が形成されている証拠なんですね! 実はすばらしいことなんだって初めて知りました。(ベビー&キッズシッター Y.K)

子どもにとっての安全基地とは?

徐々にマターニシティを求めることが減りはじめ、自立へのさまざまな試みと外界へのあふれる好奇心を示しはじめます。そして、多少とも不安を覚えると、愛着の対象であるその人の懐に飛び込み、三つの感覚的協応を求め、それを経験することにより、深い安堵と安らぎを覚えるのです。その懐、柔和なまなざしと声こそが、その子どもにとってこの世で最初の安全基地、第一の安全基地です。

「安全基地」・・・何かあればそこに戻れば絶対安心、という人の懐のことなのですね。
もし「安全基地」がなくなったら、どうなるのでしょうか?
子どもにとって大変なことになるのでしょうね。
次のお話を楽しみにしています。(ベビー&キッズシッター Y.K)

出典:在宅保育の考え方と実際 改定 ベビーシッター講座Ⅰ理論編(第二版) 2010年


網野先生からコンビスマイルのブログに次のようなメッセージをお寄せいただいています。

保育マインドの涵養は、保育の専門性として非常に大切であると思っていますが、この度このようにブログに掲載していただき、本当に有り難く思っております。なにがしかのお役に立てましたら、大変幸甚な次第です。

網野武博

東京大学教育学部教育心理学科卒 元厚生省児童家庭局児童福祉専門官、元東京経済大学教授・上智大学教授・東京家政大学教授、元公益社団法人全国保育サービス協会会長 など

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