世話(ケア)の真の意味 ~網野武博先生「保育マインド」から③~

07-21-2021

網野先生からコンビスマイルのブログに次のようなメッセージをお寄せいただいています。

保育マインドの涵養は、保育の専門性として非常に大切であると思っていますが、この度このようにブログに掲載していただき、本当に有り難く思っております。なにがしかのお役に立てましたら、大変幸甚な次第です。            網野武博

ケア」という言葉の持つ意味

保育という言葉を英語で表すと、デイ・ケアです。保育という言葉の本質的な意味は、保護し養育するということであり、英語ではケアという言葉が最も適切です。保育は親や身内以外の誰かによって通常は日中営まれるものなので、デイ・ケアと表現されます。
さて、この「ケア」という言葉は実に味わい深い言葉の一つではないでしょうか。あらためてその意味を英和辞典で引いてみますと、動詞で表現すれば、世話をする、監督する、保護する、などの意味のほかに、かまう、気にする、心配する、苦労する、大切にする、特に意を配る、注意する、関心を持つ、用心する、備える、さらには、望む、好む、欲するなどの意味でも用いられます。
われわれの日常生活において、特に対象に関心を向けそれを深く配慮しようとするとき、この言葉が深く関連することが改めて理解できます。そしてこれを子どもとのかかわりという面からみるとき、その意味するもののごとくといっていいほど、親や保育者、大人たちが、子どもを肯定的に受け止めようとする態度、心遣い、気遣いと結びついています。

「ケア」にこんなにたくさんの意味があることを知ってびっくりしました。それに保育って「ケア」という言葉の意味そのものなんですね! 
私たちは子どもに気を配って、大切にお世話します。何か気がかりなことを見つければ心配するし、子どもが楽しそうにしていれば、何を喜んでるのかな と関心を持ちます。何よりも子どもの気持ちに寄り添うことが大切だと考えています。(ベビー&キッズシッター Y.K)

エリクソンの「人間の発達における八つの段階説」と「ケア」

アイデンティティという言葉を世界に普及させた最新医学・臨床心理学の権威エリクソンが理論的にまとめた人間の発達における八つの段階説は、あまりにもよく知られています。彼は、その各段階における心理―社会的課題と危機と共に、その各発達段階で獲得される価値的資質能力(原語は「バーチュー」であり、日本語では「徳目」などと訳されている場合が多いのですが、筆者はこれを獲得される価値的資質能力と解しています)をあげています。その第7段階の成人期において獲得される資質能力が、「ケア」です。

乳児期、幼児期前期、幼児期後期・・・一つ一つの発達段階でバーチュー「価値的資質能力」を獲得していくことが必要で、そうすれば、成人した時に「ケア」の気持ちが育まれる・・・ということを初めて知りました。
だからこそ赤ちゃんの時に「人への基本的信頼」を築くことが大切なのですね。(ベビー&キッズシッター Y.K)

基本的マインドとしての「ケア」

この「ケア」は、子どもを育てる基本マインドではないでしょうか。基本的マインドとしての「ケア」は、人生における生涯発達のプロセスを通じて、心豊かにより良く生きてきたならば、成人期において獲得しているはずの資質能力であるといえるでしょう。
先に詳しく触れてきたマターニシティ、そして子どもの有能性によって引き出され導かれる同調的な相互作用の意義を、ここであらためて価値的資質能力としての「ケア」と結びつけて考えてみましょう。その意義は、子どもを肯定的に受け止めようとする態度、心遣い、気づかいという「ケア」の神髄となって、子育てや保育の姿といっそう重なり合い、結び付いてきます。

心豊かにより良く生きること、それが「ケア」という基本的マインドの獲得につながるのですね!
「ケア」の基本的マインドが備わった人を育てるためにも、日々の保育をていねいに行い、子どもたちが日々心豊かに過ごせるようにすることが必要なんだなあと実感しました。
私の持っている「ケア」の気持ち、これも大切にしていきたいと思います。
次は「安全基地」のお話をお聞きできるということで、とても楽しみにしています。(ベビー&キッズシッター Y.K)

出典:在宅保育の考え方と実際 改定 ベビーシッター講座Ⅰ理論編(第二版) 2010年

網野武博
東京大学教育学部教育心理学科卒 元厚生省児童家庭局児童福祉専門官、元東京経済大学教授・上智大学教授・東京家政大学教授、元公益社団法人全国保育サービス協会会長 など

関連記事

子どもたちに夢をあたえてくれたオリンピック ~ベビー&キッズシッター 8月の保育記録から~

子どもたちに夢をあたえてくれたオリンピック ~ベビー&キッズシッター 8月の保育記録から~

コロナ禍の中で、東京オリンピック2020が開催された8月でした。色々と制限のある中でも、子どもたちに夢を与えてくれたオリンピック。今回は、スポーツセンターで未来の金メダリストを目指すCさんと、スイミングスクールでスイミング検定に向けてがんば...

ベビー&キッズシッターと「お買い物ごっこ」をする中で「言葉」のやりとりができた~スぺシャルニーズを必要とするお子さまとの10年の歩み」から~

ベビー&キッズシッターと「お買い物ごっこ」をする中で「言葉」のやりとりができた~スぺシャルニーズを必要とするお子さまとの10年の歩み」から~

5歳になったスペシャルニーズを必要とするAちゃんは「やまてせん」と電車の名前を言えるようになり、「何が好き?」「でんしゃ」 「何色が好き?」「あか」と答えられるようになりました。さらに楽しい遊びは展開していきます。(広報担当 Y.N)...

Pin It on Pinterest

Share This