発達障害のあるAくんとベビー&キッズシッター N.Fさんとの「落としてしまった一本の折り畳み傘」をめぐるできごとです。
傘が 傘が・・・
駅のホームを歩くお子さまの手には折り畳み傘がありました。お気に入りの傘です。その傘がお子さまの手から離れ、あっという間にホームの下に落ちてしまいました。しっかりと持っていたので、故意に投げたのではありません。
お子さまは「傘が 傘が・・・。」と言ってパニックになりました。
「わざと投げたのではないよね。間違って落としちゃったのよね。」と話しかけました。「大丈夫。駅員さんに取ってもらおうね。」と話し続けました。
「ホームの下に落ちたものを拾いに行くことは、絶対にしてはいけないよ。」「電車がホームに入ってくるかもしれないし、けがをしてしまうからとても危ないことだからね。」「Aくん、わかるかな? お約束ね。」と伝えました。
お子さまはそのような行為はしないはずです。なぜなら困ったことがあると必ず誰かが助けてくれると思っているからです。
その時も、私が傘をとってくれると待っていました。
そんなお子さまに「私でもできないことがあるの。だから駅員さんのところに行ってみようね。」と話すと、パニックが収まってきました。
助てくれる人はほかにもいる
今まで困ったとき、お子さまはご家族、先生、お友達、シッター等の身近な人たちに助けられてきたと思います。
「Fさんが出来なかったら、ボクの傘はどうなっちゃうの?」と不安に思うお子さまの気持ちを察しました。
この経験をきっかけに、世の中には困ったときに助けてくれる人がほかにもいることを知ってもらいたいと思いました。
「4号車」とはっきり答える
駅員さんに私がどのように伝えるか・・・お子さまは静かに聞いていました。
「〇〇線のホームの下に傘を落としてしまったのですが・・・」というと駅員さんに「何番ホームですか?」と訊かれました。「〇ホームです。」と伝えると「分かりました。ホームでお待ちください。場所は何号車ですか?」と聞かれました。
すると横で聞いていたAくんが「4号車」とはっきり答えました。パニックになっていたお子さまが、きちんと場所を覚えていたのです。
「良く覚えていたね。さすがAくん!」とホームに戻りました。
「駅員さんが戻ってくるまで待っていようね。」「落ちたものを拾う道具があるから、傘取ってもらえるからね。」とお子さまが安心できるように声掛けをしました。
駅員さんが来ると、Aくんは興味深く観察しました。
初めて見る光景の中で、Aくんはどのように思ったのかな? と考えました。道具を使って傘を取ることができるんだな、という方法を知ることができたと思います。
大切な言葉「ありがとうございます」
駅員さんから傘が手渡されると、お子さまは安堵の表情になりました。耳打ちして、二人で「ありがとうございました。」と、お礼を言いました。
困ったときに助けてくれた人への「ありがとう」という大切な言葉を忘れないで欲しいと思います。
二度と言わなくなった「傘が・・・」
その後発達障害で通うお教室へ向かいました。モニターでお子さまの様子を見ていましたが、いつもと変わらず、きちんと着席してお勉強に集中できていました。
お勉強が終了して退室したお子さまが、私に、「傘が・・・」と言いました。おそらくお子さま自身が大失敗してしまったという思いがあったのだろうということが分かりました。
「Aくんは悪くないよ。駅員さんに傘取ってもらって良かったね。」「落とさないように気を付けようね。」と話しました。
それからは「傘が・・・」ということは一度もありません。
★Aくん、1本の折り畳み傘を落としたことから、たくさんのことを学びましたね。
これも「保育マインド」にあふれたN.Fベビー&キッズシッターの適切な対応があったからです。
色々な出来事と、それに対応するベビー&キッズシッターの働きかけの中で、どのお子さまも成長していくのだと思います。
(広報担当 Y.N)
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