俵万智さんの「かーかん、はあい 子どもと本と私」から

10-19-2021

俵万智さんの「かーかん、はあい 子どもと本と私」から

俵万智さんからいただいた本、「かーかん、はあい! 子どもと本と私」には、息子さんが2歳から4歳のときに一緒に読んだ本と、本を読んだときの思いが溢れるようなエッセイと魅力的な歌が載せられています。
この年齢は「親子で一緒に本を読む」限られた凝縮した時間だと思います。
「かーかん、はあい!」に登場する本の中から、「あ、この本読んだっけ!」「うちの子にこの本を読ませてみようかな?」など、それぞれの思いが広がっていきますように。
(広報担当 Y.N)

親だって初心者

2歳になったばかりの息子は、本を読んでほしくなると必ず言う。「かーかん、つぎは、なに読もうか?」まだ何も読んでいないのに「つぎは」というのが、ちょっとヘンだが、私の口ぐせを真似たものらしい。

何度でも呼ばれておりぬ雨の午後「かーかん」「はあい」「かーかん」「はあい」

じゃあじゃあびりびり

子どもと初めて楽しんだ絵本は「じゃあじゃあびりびり」だった。誕生のお祝いにいただいたもので、生後半年を過ぎたころから、興味を示しだした。といっても最初は「本」としてではなく、この不思議なカタチのものとして、である。当然、まずは舐める。そして噛む。赤ちゃんの本が、けっこう丈夫なボール紙でできている理由がよくわかった。
「いぬ わんわんわんわん」「みず じゃあじゃあじゃあ」といった何かと擬音との組み合わせ。絵もそれに合わせて、犬や水道が書かれているだけの、いたってシンプルなつくりの絵本である。最初は、まあこんなものかと思っただけだったが、長く親しむにつれて「じゃあじゃあびりびり」の素晴らしさが、じわじわわかってきた。

まず、背景の色が見開きごとに鮮やかに変わる。本というものはページをめくるたびに、新しい世界が現れるんだということが、くっきりとした色で伝わってくる。

それから、読んでやるに際して、この「みず じゃあじゃあじゃあ」が、まことによい。例えば類似の絵本で、絵だけのものがある。が、これだと何をどう読んでやればいいのか、よくわからなくて困ってしまう。絵に添えて単語が書かれているものもあるが、これも、「りんご」「くり」などと読むだけでは味気ない。慣れてしまえば、臨機応変に言葉が出てくるのかもしれないが、初めはそれもなかなかむずかしい。こっちだって、親としてまだ初心者なのだ。わが子と初めて絵本を読む、というのは、実はけっこうな戸惑いがある。その点「みず じゃあじゃあじゃあ」には救われた。擬音というのは、声に出して読むと楽しいし、ただの「みず」よりはずっと世界が広がる。

息子は「あかちゃん あーんあーんあーん」が、お気に入り。なかには「ふみきりなんてわかんないだろうなあ」というページもあるが、後に踏切の実物を見て「これだったのか!」と知る日もくるだろう。それはそれで楽しい。

思えば豊かなオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)というのは、日本語の大きな特徴だ。主語+オノマトペで、とりあえず意味のある文になることを考えれば、もっとも初歩の文法を学んでいることにもなる・・・・・・なんて分析してしまうのはモト国語教師の悪い癖だろうか。

子を真似て私も本を噛んでみる確かに本の味がするなり

出典 
書名  「かーかん、はあい 子どもと本と私」
著者  俵 万智
発行所 朝日新聞出版
2008年11月30日 第1刷発行


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