ベビーシッターには「子どもの最善の利益」を尊重した保育や子育て支援をすることが求められています。
では、ベビーシッターの現場における「子どもの最善の利益」を尊重する、とは具体的にどんな保育や子育て支援を指すのでしょうか?
資料を調べてベビーシッターの立場で考えてみました。
(ベビー&キッズシッター Y.N)
1 子どもの最善の利益 の定義
この言葉は、「児童の権利に関する条約(こどもの権利条約)」の4つの原則に出てくる言葉です。この条約は1989年に国連総会で採択され、日本では1994年に批准を行い、効力が発生しました。
4つの原則として、次の項目が挙げられ、2 に「子どもの最善の利益」について定義されています。
1 生命、生存及び発達に対する権利(命を守られ成長できること)
すべての子どもの命が守られ、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、 医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されます。
2 子どもの最善の利益(子どもにとって最もよいこと)
子どもに関することが決められ、行われる時は、 「その子どもにとって最もよいことは何か」を第一に考えます。
3 子どもの意見の尊重(意見を表明し参加できること)
子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、 おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮します。
4 差別の禁止(差別のないこと)
すべての子どもは、子ども自身や親の人種や国籍、性、意見、障がい、経済状況など どんな理由でも差別されず、条約の定めるすべての権利が保障されます。
(出典:子ども基本法 子ども家庭庁 日本ユニセフ協会ホームページより抜粋)
さらに、平成28年(2016年)の児童福祉法の改正に伴い「児童福祉法の理念」について明確な定義がなされました。
その第2条に
「すべて国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあるゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。」
と、「児童の最善の利益」について述べられています。
2 子どもにとって最もよいこととは?
「こどもの権利条約」に、子どもに関することが決められ、行われる時は、 「その子どもにとって最もよいことは何か」を第一に考える、とありますが、「子どもにとって最もよいこと」って何でしょう?
例えばベビーシッターが、保護者による虐待が行われていることを発見したり、疑われる状況に遭遇したりした場合は、当然、事業者に伝えて専門機関などに通告する義務があります。迅速にその状況から子どもを救い出すことが最もよいことです。
ベビーシッターがそのご家庭の食生活に、明らかに偏りがあることに気づいた場合は、子どもにとって最も良いことはバランスの取れた食生活に改善することですから、事業者に実態を伝えて、何らかの方法で保護者の食生活を見直してもらうような働きかけが必要となるでしょう。
ベビーシッターが迷うケースもあります。
例えば、保護者が子どもにとってよいこと、と考えて、毎日のようにおけいこごとに通わせているとします。でも、おけいこの送迎をするベビーシッターが、お子様が「行きたくない!」と嫌がったり、歩けないほど疲れていたりする現状を知る場合があります。
毎日のようにおけいこごとを続けているうちに体力がつき、興味も沸くかもしれません。逆にお子様が心身ともに疲弊して何もしたくなるかもしれません。
保護者が「子どもにとって最もよいこと」と考えていることが、その通りなのか、そうではないのか、ベビーシッターの立場では判断が難しいケースです。
3 保護者、子ども、ベビーシッター それぞれの視点からみた「子どもにとって最もよいこと」
こう考えると、保護者、子ども、ベビーシッター、それぞれの視点から見た「その子どもにとって最もよいこと」が、必ずしも同じではないかもしれないような気がします。
・保護者は、子どもにこうあってほしい、という期待をもって「子どもにとって最もよいこと」を考えるのだと思います。
・子どもは、自分のその時の思いで「これをしたい。したいことが自分にとって最もよいこと。これはしたくない。したくないことは、自分にとってよくないこと。」と考えるかもしれません。
・ベビーシッターには、子どもの気持ちに寄り添い、子どもの気持ちを尊重しながら、安全に楽しく保育をする役割があります。一方、保護者に寄り添い、育児方針を理解し、子育て支援を行う役割を担います。
ベビーシッターは保護者、子ども、双方の視点から「子どもにとって最もよいこと」を考える必要があります。
4 おけいこごとの事例について考える
例えば、おけいこごとのケースについて考えてみれば、ベビーシッターは子どもに
「○ちゃん、今日はどうしておけいこに行きたくないの?」
「好きなおけいこは何なのかな?」
など、気持ちをきいてみるようにします。
「△ちゃんにいじめられるからいやなの。」
「ピアノは好きじゃないの。」
など、子どもの気持ちを聞いてみます。
「そうなのね。○ちゃんのつらい気持ち、よく分かるよ。」
「でも、ピアノが弾けると、どんな楽しいことがあるかな?」
などと、気持ちに寄り添いながら話すことで、子ども自身も「自分にとってよいこと」を考えることができるかもしれません。
まだ、子どもが十分に自分の気持ちを表現できない年齢などの場合は、保護者に、子どもの様子を伝えてみる方法があります。
「○ちゃん、最近金曜日のおけいこに行くとき、歩けないほど疲れているので、ちょっと気がかりなのですけれど。」
保護者は当然「おけいこごとは子どもにとってよいこと」だと考えていますから、否定的な言い方は避けて、疲れている状況だけ具体的に伝えます。
保護者の方針がすぐに変わることはないでしょう。しかし、保護者が知らなかった子どもの様子について、ベビーシッターから聞いて保護者が知ることで、「子どもにとってよいこと」を考えるきっかけになるかもしれません。
これからも、色々なケースを通じて「子どもの最善の利益」について考えながら、保護者支援、保育を行っていきたいと思います。
(ベビー&キッズシッター Y.N)
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