私はシニアのベビー&キッズシッター。
足のリハビリをしていたころ、優先席に座った時のことです。
ご機嫌の悪い赤ちゃん
向かい側の座席の前にパパが8か月くらいの赤ちゃんを抱いて立っています。
私の方を向いている赤ちゃんはどうもご機嫌斜め。
泣きながら体を大きく揺らしていて、パパも少し持て余し気味。
ママは疲れ果てた顔で座席に座ってその様子を黙って見ています。
なぜ、そんなにご機嫌斜めなのかな?
よく見ると、電車のつり革を触ろうとして体を大きく揺らしているのです。
小さな手で思い切り触れるとそのつり革もその隣のつり革もじゃらじゃらと大きく揺れます。
パパはそれをやめさせようとするので、ますますいらだつ赤ちゃん。
ここはベビーシッターの出番!
幸い赤ちゃんは私の方を向いて泣いています。
そこで・・・ つり革になった気持ちで揺れてみました。
「わかるよ。つり革が揺れて面白いねえ。ほら こんなに揺れてる・・・」
私に気づいた赤ちゃん。
びっくりしたような目になりました。
そして、泣き止みました。見知らぬおばあちゃんがゆらゆら揺れていたら、不思議ですよね。
急に泣き止んだ赤ちゃん。
どうしたのだろうとびっくりするパパ。
赤ちゃんの視線をたどりながら振り向くと、
見知らぬおばあちゃんがゆらゆらつり革のように揺れています。
さすがパパ。
赤ちゃんがつり革の揺れるのを喜んでいることに気づきました。
赤ちゃんの興味に寄り添うこと
赤ちゃんがつり革を揺らしやすいように抱きかかえ
一緒につり革が揺れるのを見つめるパパ。
真剣な目でつり革を揺らす赤ちゃん。
さわったら、つり革が揺れて、そしてその隣のつり革も揺れるなんて
・・・とても面白いことですよね。
ママも穏やかな顔になってその様子を見つめています。
つり革遊びを十分に楽しんで、赤ちゃんはママのお膝に座りました。
ほっとしたように隣に座るパパ。
赤ちゃんの興味は、社内に貼ってある広告 止めてある金具・・・
どんどん移り変わっていきます。
それを優しく受け止めるパパとママ。
ママだって休みたい・・・
毎日毎日、昼も夜も赤ちゃんのお世話をしていると
疲れ果てて、赤ちゃんの気持ちに十分寄り添えないことがあるのは
当たり前。
電車に乗っている数十分でも居眠りをしたり、スマホをチェックしたりしたい
というママの気持ち、痛いほど分かります。
私だって、赤ちゃんの気持ちに寄り添えないことばかりでしたから。
ほんの少しの時間パパと楽しそうにしていてくれたら
気持ちが休まり、優しくなれます。
思うようにならない赤ちゃん、電車の中で泣かれて困る・・・
どうしたらよいか分からなかったパパの気持ちもよく分かります。
知的好奇心のかたまり
でも、素敵な赤ちゃん。
いろいろなものに興味を持って、試してみよう という知的好奇心のかたまり!
パパ、ママと一緒に電車を降りていく赤ちゃんに
「面白いもの たくさんみつけてね。」
と、声を掛けました。
(ベビー&キッズシッター Y.N)