厚生労働省は2024年6月5日、2023年の日本人の人口動態統計(概数)を発表しました。1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」は、1947年以降過去最低の1・20で、8年連続で低下しました。中でも人口の一極集中が進む東京都は0・99と「1」を割り込みました。
出生数も過去最少の72万7277人でした。婚姻数が90年ぶりに50万組を下回ったほか、初産が遅い「晩産化」も進んでいて、少子化と人口減少が加速しています。
ベビーシッターの仕事を10年以上続けている私(ベビーシッターA)は、元大学非常勤講師として在宅保育論を教えていたBさんと話す機会がありました。
そこで、この著しい少子化の時代、私たちベビーシッターが何ができるのかを一緒に考えてみました。
A は、ベビーシッターA
B は、元大学非常勤講師 Bさんの発言です。
合計特殊出生率って何?
A 今話題になっている合計特殊出生率ってどういう数字なのでしょうか?
B 「一人の女性が一生に産む子どもの数」と言われていますが、子どもを産む可能性のある15歳から49歳の女性の年齢別の出生率を合計したものです。
簡単に説明すると、合計特殊出生率には ①「期間」合計特殊出生率 と ②「コーホート」合計特殊出生率 の2種類があり、①はその年における各年齢(15~49歳)の女性の出生率を合計したもの、②は同一世代生まれの女性の各年齢(15~49歳)の出生率を過去から積み上げた「その世代の出生率」ということになります。
②はその世代が50歳に到達するまで得られないため、①の「期間」合計特殊出生率が一般に用いられています。
厚生労働省のHPで詳しく説明してあります。
B ところで、現在の人口を維持するために、合計特殊出生率はどのくらいであることが必要だと思いますか?
A 夫婦2人から子どもが生まれるわけだから、2.0でしょうか?
B そうですね。さらに結婚しない人、子どものいない夫婦もいることから2.07以上を保つことが必要だと言われています。「合計特殊出生率」は、統計を取り始めた1947年には4.54でした。
その後は低下傾向が続き1961年に1.96と初めて2を切り、2005年には1.26まで低下しました。その後翌2006年から増加に転じ、2015年には1.45まで増加しましたがその後は再び低下傾向となり、2022年は1.26、そして2023年が1.20となり8年連続で減っているのです。
(「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」より引用)
下がり続ける出生率
A 人口が減っているのですから、出生数、合計特殊出生率ともにこれからも下がる一方ですね。
B その通りです。1947年から1949年にかけて第1次ベビーブーム、その世代が出産した1972年から1975年にかけて第2次ベビーブームがありましたが、第3次ベビーブームは起きず、1973年をピークに出生数、合計特殊出生率は下がる一方です。
国立社会保障・人口問題研究所が2017年に公表した予測では日本人の子どもの出生数が80万人を下回るのは2030年となっていましたが、2023年の出生数は72万7277人ですから、少子化が想定を上回るペースで急速に進んでいるといえます。
A どうして、合計特殊出生率は下がり続けているのでしょうか?
B ある年齢、例えば25歳までに結婚して子どもを産み育てるのが当たり前、という時代は過去のものになりました。第2次ベビーブームの後に第3次ベビーブームが起きなかったことからもそう言えると思います。
今は、それぞれ自分の生き方を選択することのできる時代です。仕事に生きがいを見出し、子どもを持つことを考えない人もさらに増えていくでしょう。
貧困の問題も根深く、結婚、出産を全く考えることのできない人たちも存在しています。
一方、子どもを持ちたいと思っても、共通の思いを持つ配偶者と巡り合い結婚をしないと、子どもを産み育てることはできません。
自由に選択できる時代だから、結婚、出産に至るハードルもより高くなったのだと思います。晩婚化、産みたくても産めない、などそのほかにも様々な原因があると思います。
出生率の低下は世界の先進国各国で起きている現象でもあり、様々な要素が重なっていると思います。
ベビーシッターが出生率を上げられる?
A ベビーシッターが保護者の子育て支援をすることで、出生率を上げることはできるのでしょうか?
B 少子化の時代、子どもがいることが貴重なのに、今の保護者は生きづらさを感じることが多いと思います。仕事との両立、祖父母の支援を得にくいこと、地域や社会の支援を受けづらい環境・・・。その中で孤独感を感じたり、周囲の目に気を使いすぎたり、マルトリートメントや虐待につながる場合さえあります。
「子どもがいる幸せ」を感じるためには、心の余裕、時間の余裕が必要だと思います。
ベビーシッターが、「ご家族の子育てを一緒にお手伝いしますよ。」と、一つ一つのご家庭の状況やそれぞれの保護者の気持ちに寄り添い、一緒に子どもの成長を見守ることで、保護者の心に余裕が生まれ、「子どもの成長ってすばらしい! 子どもを育てることって本当に楽しい!」と思えるかもしれません。
それが「もう1人産んでみようかな?」という気持ちにつながるかもしれませんね。
ベビーシッターが保護者を支援することで、保護者と子どもの関係が良くなることもあります。
子どものとき、「親は私が生まれたことを幸せだと感じている。」「自分は生まれてきて良かった。」と感じて育った人は、「子どもを産み育てたい。」と、思えるかもしれません。
A ベビーシッターが保護者支援を行った結果、保護者が「もう1人産んでみようかな?」という気持ちになったら、うれしいですね。
これで出生率2.0に!
そしてそのお子様が将来「子どものいる家庭を作りたいな。」と思えたら・・・。
日々の仕事が出生率を上げることに結び付くかもしれない、と思うとますますベビーシッターの仕事って大切だなあと実感しました。
(ベビー&キッズシッター A)
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